山崎研究室では持続可能なエネルギー社会の実現を目指し、それに不可欠な要素技術やエネルギー材料に関する研究を行っています。具体的には、太陽エネルギーや熱エネルギーを水素などの化学物質に貯蔵する技術およびその化学物質から高効率に発電する固体酸化物形燃料電池に関する研究で、これらを組み合わせることで理想的には持続可能なエネルギーサイクルを構築できます。しかし、これらを実社会で利用するには効率やコストなど多数の課題を克服する必要があります。私たちはこれら人類における最重要課題に対して材料科学や材料工学の視点から取り組むことで、学術分野はもちろん一般社会にも貢献していきたいと考えています。

 

熱化学水分解金属酸化物

 熱化学水分解とは水を熱化学的に分解し水素と酸素を製造する方法で、金属酸化物を2段の温度サイクルにさらすことで可能となります。金属酸化物を高温下におくと一部還元されるため金属酸化物から酸素が放出され、酸化物中に酸素空域サイトが導入されます。ここで温度を急激に下げ水蒸気に曝露すると金属酸化物が水と再酸化し、酸化物中の空域サイトが水分子の酸素で占有され水素が生成します。

 私たちはペロブスカイト酸化物を用いた熱化学的水分解を世界にさきがけて実証し、水素製造効率の向上に必要な材料因子を酸化還元反応の熱力学および速度論を駆使して議論してきました[1~4]。さらなる燃料製造の高効率化を目指し、材料中の点欠陥の熱力学的および速度論的挙動を鋭意議論しています。

 本研究は科学技術振興機構さきがけ光エネルギーと物質変換」(2010〜2016)の援助のもと推進しています。

Reference

[1] C.K. Yang, Y. Yamazaki*, A. Aydin, and S.M. Haile*, Thermodynamic and kinetic assessments of strontium-doped lanthanum manganites for thermochemical water splitting, J. Mater. Chem. A, 2 (2014), 13612-13623.

Patents

[2] 山崎仁丈、ハイレソシナ、ヤンチカイ, 熱化学燃料製造用触媒及び熱化学燃料製造方法, 特許第5594800号 (2014), 日本.

[3] Y. Yamazaki,S.M. Haile and C.K. Yang, Catalysts for thermochemical fuel production and method of producing fuel using thermochemical fuel production, US20130252808 A1 (2013), USA.

[4] Y. Yamazaki,S.M. Haile and C.K. Yang, Catalysts for thermochemical fuel production and method of producing fuel using thermochemical fuel production, (2013), 102110240, Taiwan.

[5] さきがけ最終評価「光エネルギーと物質変換」.

 

光水分解金属酸化物

 太陽光と水から水素を作る他の方法として、光触媒を用いるものがあります。あるバンドギャップを持った半導体光触媒にバンドギャップ以上のエネルギーを有する光が入射すると、電子と正孔が生成されます。この電子と正孔をプロトンの還元反応および水の酸化反応に利用できると、水を水素と酸素に分解することができます。光触媒特性は金属酸化物のバンドギャップや点欠陥に大きく左右されるため、当研究室ではこれらの関連性を材料科学の立場から定量的に検討し、光触媒特性の高性能化に貢献しようとしています(共同研究により推進しています)。

Reference

[1] S. Nishioka, J. Hyodo, JJM. Vequizo, H. Kumagai, A. Yamakata, Y. Yamazaki*, K. Maeda*, submitted.

プロトン伝導性固体酸化物形燃料電池電解質

  燃料電池は水素などの燃料から電気を高効率に発電するデバイスで、イオンのみ透過する電解質とカソード電極およびアノード電極で構成されています。私たちが注目しているのは固体酸化物電解質としてのプロトン伝導性酸化物で、この伝導度が燃料電池の動作温度を決定します。

 酸化物中のプロトン輸送機構はプロトン伝導度を理解・制御する上で最も基本的な情報ですが、その機構はプロトン伝導性酸化物の発見(1981)以来わかっていませんでした。私たちはこのプロトン輸送機構がプロトントラッピングによることを世界で初めて見いだし、プロトン伝導度をさらに向上させるための材料設計指針を示しました[1,3]。私たちは現在、これらに関する材料科学を勢威構築している所です。

 本研究は科学技術振興機構さきがけ光エネルギーと物質変換」(2010〜2016)、科研費 基盤研究A(2015~2018)および新学術(2016~2018)の援助のもと推進しています。

References

[1] Y. Yamazaki*, F. Blanc, Y. Okuyama, L. Buannic, J.C. Lucio-Vega, C.P. Grey, and S.M. Haile, Proton trapping in yttrium-doped barium zirconate, Nature Materials, 12 (2013), 647-651.

[2] 山崎仁丈, プロトン伝導性金属酸化物BaZrO3における置換元素Yの役割とBa欠損の影響, まてりあ 54(2015), 343.

[3] 山崎仁丈, プロトントラッピング~固体酸化物燃料電池,低温動作の鍵となる金属酸化物中のプロトンの拡散~, まてりあ, 54(2015) 242-249.

[4] 山崎 仁丈, 固体酸化物形燃料電池を低温で動かす新たな機構を発見, 科学技術振興機構, 第952号, プレスリリース.

[5] 山崎 仁丈,「燃料電池の材料特性発見」, 日経産業新聞, 5/14/2013.

[6] 山崎 仁丈,「SOFC、低温駆動へ道」, 電気新聞, 5/14/2013.

[7] 山崎 仁丈,「JST, 固体酸化物形燃料電池を低温で動かす新たな機構を発見」, 日経電子版, 5/13/2013.

[8] F. Blank, L. Sperrin, D. Lee, R. Derisoglu, Y. Yamazaki, S.M. Haile, G. D. Paepe, C.P. Grey, Dynamic nuclear polarization NMR of low-γ nuclei: Insights into hydrated yttrium-doped BaZrO3, J. Phys. Chem. Lett. 5 (2014), 2431-2436.

[9] Y. Yamazaki, C.K. Yang and S.M. Haile, Unraveling the defect chemistry and proton uptake of yttrium-doped barium zirconate, Scripta Materialia, 65(2011), 102-107. Invited paper.

[10] Y. Yamazaki, R. Hernandez-Sanchez and S.M. Haile, Cation non-stoichiometry in yttrium-doped barium zirconate: phase behavior, microstructure and proton conductivities, J. Mater. Chem., 20(2010), 8158-8166.

[11] Y. Yamazaki, R. Hernandez-Sanchez and S.M. Haile, High total proton conductivity in large-grained yttrium-doped barium zirconate, Chem. Mater., 21(2009), 2755-2762.

[12] Y. Yamazaki, P. Babilo and S.M. Haile, Defect chemistry of yttrium-doped barium zirconate: A thermodynamic analysis of water uptake, Chem. Mater., 20(2008), 6352-6357.

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